UAS測量調査協議会

『航空機事故に学ぶ』小林忍著(講談社)

無人航空機の安全な運航確保の上に測量業界の発展を築こうとしているUAS測量調査協議会にとって、最初に紹介するに相応しい本である。著者は、日本航空で機体構造設計や総合安全推進室室長などを努めた方である。また、本書は、失敗学の畑村洋太郎先生率いる危険学プロジェクトでの活動を踏まえて書かれたものである。書名が示すように、単に航空機の事故について書いたものではなく、航空機事故の事例を通し、あらゆる分野へ共通する安全確保の法則を示そうとした力作である。当然、無人航空機を用いて未知なる領域に進んでいる我々にとっても示唆に富む。

 人は、古来より便利さを追求し、道具から機械、そしてシステムへと、より高度なものを生み出してきた。その陰には、必ず事故があり、それを乗り越える努力が払われてきた。この百年、その最先端にいたのが著者の属している航空分野である。

 巨大化・複雑化していく技術分野において、周期的に発生する事故を、本書では航空機の事故を事例に、原因と解決策を紹介するとともに、巨大化や複雑化に伴って法律や経営、メディア、社会といった様々な観点からの取り組みが必要になってきたことが示されている。あたかも寺田寅彦が『津波と人間』の中で「災害に関する知識の水準をずっと高めることが出来れば、その時にはじめて天災の予防が可能になるであろうと思われる」と記したことを体現している。

 本書を読み解くことによって「安全だといわれていたものが、ある日、突然、巨大な牙をむく」、「信頼性の高いシステムが、ほんの小さな穴から、ある日、突然、巨大な牙をむく」光景が目に見えるとともに、それを回避するために積み重ねられてきた知識を学ぶことができるとともに、無人航空機の安全な運行確保の将来を見通せる一冊である。(津留宏介)