UAS測量調査協議会

『風はなぜ吹くのか どこからやってくるのか』杉本憲彦著(ベレ出版)

 航空機では、プロペラの後に発生する風をダウンウォッシュと呼ぶ。ヘリコプターやマルチコプターといった回転翼機では、ダウンウォッシュが地表からの逆流や地表熱による上昇気流とぶつかって乱れるボルテックス・リングと呼ばれる渦が生じる。この状態になると渦同士がつながって揚力を失うセットリング・ウィズ・パワー状態となり、制御が難しくなる。

 風は物体との摩擦の影響を受け、物体に近いと減速したり、谷間に入ると中央に近い風ほど高速になったりする。風速の急激な変化や風向の乱れは、ビル風が知られているが、似た環境でも起きる。

 このような風、特にマルチコプターに影響を与える地表風による悪影響を避けるためには、前兆を掴むことが重要である。どうやって! 学ぶことが重要である。だが、地表風の教科書などあるのか。本書がそれだ。

 本書では、大気の成り立ちから地球の熱のやり取りを踏まえ、風の吹く仕組みが解説されるとともに、身近な風や地球規模の風などについて紹介されている。無人航空機に携わるものには是非読んで欲しい本である。少なくとも担当部署には一冊は備えておくべき本である。(津留宏介)