UAS測量調査協議会

『ドローンビジネスと法規制』森・濱田松本法律事務所 ロボット研究会編 戸嶋浩二・林浩美・岡田淳編集(清文社)

言うまでもなくビジネスに使用する場合の無人航空機に関連する法律についての、弁護士の執筆による解説本である。文章が苦手な測量屋にとっては、これだけでも手に取りがたい本で、正直読みやすいとはいえないが、無人航空機が測量にとって無視できない技術であるうえ、落ちない無人航空機は未だ存在しない状況であるとともに、改正航空法で規定されたのは飛行ルールだけで、無人航空機への要求性能、操縦者への操縦能力の要件は手付かずの状態である現状においては、無人航空機を飛ばすならば自らの身は自ら守る必要があり、関連する法律についての知識も持っておく必要がある。そういった意味で、測量屋にとって本書は必読の書であり、少なくとも一社に一冊は必要な本である。
だが、本書を読破して理解したとしても、釈然としない気持ちは残るであろう。どうも法律というものは、基本的な方向性のみを示し、具体的なところは個別の事情を考慮しなければならないため、最終的には裁判で判断するものらしい。つまり、裁判事例を積み重ねていく必要があるようだが、当然のことながら無人航空機の事故に関する事例は、幸いながら未だ無いようである。だからこそ、ババを引かないように身を守る術を身に付ける必要があるのではないか。
何と、2015年の無人航空機の拾得は336件、遺失物届けは119件だったそうである。当然、このほとんどが、暴走してどこかに落下し、見つけられないまま放置されたものであろう。この数をハインリッヒの法則の軽微な事故・災害のランクに位置付けすると、ヒヤリハットは4,500件強、重大な事故は4件程度、発生していることになる。感覚的には納得する数字で、明日は我が身という恐怖も感じる。
操縦が簡単で、いかにも安全に飛ばせそうな口コミであるが、無人航空機の暴走は身近であり、身を守るためには法的な知識も持っておく必要がある。
法律が身近でなかった測量屋には、第4章の事例の中の、興味のあるものから読み始めるのがいいだろう。測量に関しても5例ある。身近で文章も平易で読みやすい。
次に読むべきは、第5章である。この章「ドローンの利用に伴う法的責任」は、必読の章であり、ここを読むためだけでも本書を購入する価値がある。無人航空機によって事故を起こした場合、誰に法的責任が発生するのか、民事、刑事、行政のそれぞれに触れている。特に民事に多くのページが割かれ、故意又は過失と判断される4つの要件、使用者(測量屋にとっては会社)の責任、過失と判断されないために講じておくべき措置、製造業者や販売業者などの責任、そして保険についても解説されている。
第6章の「ドローンに関連する法規制の今後の課題」についても読んでおいた方がいいだろう。現在の航空法の不足部分、そこが無人航空機の利用者の一層の留意すべき事項となるが、今後の進むべき道が垣間見える。
第4章から6章を読んでいれば、第1章から3章も素直に読めることだろう。あるいは、多くの読者が既に無人航空機に取り組んでいることだろうから、必要に応じて参照する程度でもよいだろう。
今後、無人航空機の拡大は確実であり、どのように測量に取り組むかを試行錯誤されているところだろうが、測量への無人航空機の利用を確実にするには法的な知識も欠かせない。本書は手元に置いておきたい一冊である。
(津留宏介)